Agile Testing Days 2017に行ってきた
- はじめに
- 前置き
- Day One (13th Nov)
- Day Two / Conf. Day 1 (14th Nov)
- Day Three / Conf. Day 2 (15th Nov)
- Day Four / Conf. Day 3 (16th Nov)
- Day Five / Conf. Day 4 (17th Nov)
- Day Six (18th Nov)
- まとめ
はじめに
本記事は、アプレッソ Advent Calendar の 17日目です。
前置き
2017-11-13 から 11-17 までドイツのポツダムで行われた Agile Testing Days 2017 に行ってきました。
Agile Testing Days とは、上記リンク先にもあるようにヨーロッパ圏向けの一大アジャイル・テストのフェスです。
私はアプレッソ最古の QA エンジニアなので参加の指令が下ったのですが、実は去る 10 月からアプレッソを離れて親会社であるセゾン情報システムズのプリセールスエンジニアとして働いるため、本来であれば現職の人が行くべきですよね。だがしかし急な異動だったということもあって、すでにホテルからカンファレンスのチケットやら予約済みで・・・。
いろいろありましたが結局当初予定通り私が行くことになりました。
ポツダムはベルリン経由で行くので、事前準備として David Bowie のベルリン三部作を購入しておきました。
これを聴きながら出発します!
Day One (13th Nov)
ATD は本開催前の 13 日から "Tutorial Day" といって、以前参加された経験者の方がいろいろと手ほどきしてくれる準備日が設けられているのですが、日程の都合上そこには参加できず。
13 日 11:30 成田発でフィンランドのヘルシンキ空港を経由して、ドイツはベルリンのテーゲル空港に着いたのは現地時間の 18 時。日本との時差は +8 時間なので日本時間の 14 日 2 時。Transit の待ち含めて約 15 時間のフライトでした・・・。遠い!
テーゲル空港からはいったんベルリン中央駅にバスで出なければならなく、さらにポツダムの中央駅へは RE1 (REGIO 1) か S バーン (S7) とかいう電車で 30 分から 1 時間くらいかかります。
泊まったのは ATD 開催場所である Dorint Sanssouci というホテルだったのですが、そこもポツダム中央駅から歩いて 30 分くらいかかるので、ホテル着は 13 日の 20 時を過ぎていました。
人影はまばら。道が石畳なので腰に来る・・・。
フロントでチェックインの手続きを終えて何とか部屋へ。
こうして初日が終了しました。
Day Two / Conf. Day 1 (14th Nov)
滞在二日目です。ATD としては初日。
まずは registration。首かけカードとともに、T シャツとバッグをもらいました。
T シャツは BUGBUSTERS を選択ッ!(アプレッソの BugBusters チームに献上するため。)
9:00 からはメイン会場で主催者の方のオープニングセッション。
ATD は Unicorn がマスコットのようで、檀上にはピンクに怪しく光る Unicorn が・・・。そして BGM はなぜかレゲエ。
(レゲエをバックにピンクに光る Unicorn)
参加者はざっと見て 600 人強くらいでしょうか。それほど多くないな、という印象です。雰囲気は日本のカンファレンスと大きく変わりません。
(ホテルのロビー)
9:10 からの Keynote (45 分) を経て、マルチスレッドで行われる各セッションに散っていくので、参加者は少ないと十数名です。
keynote セッションはその日の始まり (9:00)、午後の始め (13:25)、終わり (17:40) の計 3 回あります。日本では一度だけというイメージだったので、新鮮です。
本日は以下のセッションを聴講しました。
- "Continuous Delivery Sounds Great But It Won’t Work Here" by Jez Humble
- "There and Back Again, A Hobbit/Developer/Tester’s Journey" by Pete Walen
- "'I am Groot' - Learning Agile Testing" by Elisabeth Hocke
- "Tested by Monkeys" by Jeremias Rößler
- "Owning Our Narrative" by Angie Jones
- "Embracing Change" by Christina Ohanian
- "Setting the IoT Stage - how to test it?" by Branka Rakic
- "Agile Testing in a tailored Kanban approach" by Björn Lemke & Fanny Pittack
- "Regression Testing" by Carlo van Driel & Marc van den Berg
- "How To Onboard New Hires Into Happy and Productive Employee" by Poornima Vijayashanker
Developer と Tester の相克があるあるネタとして紹介されていて、会場は大ウケでした。万国共通ですなぁ。
あと、モンキーテストを AI によって自動化する、というソフトウェアがあるということを今回初めて知りました。確かに AI の得意分野な気がします。AI によるテスト、これは今後いろんな可能性がありそうです。
セッションの内容についてはスライドなどの資料が一部アップされていますので、詳細について興味のある方はぜひ以下リンク先を参照ください。
Day Three / Conf. Day 2 (15th Nov)
滞在三日目。ATD の Conf. Day 2 です。天気は曇り。夕方から小雨。
ここで初めて日本の方にお会いできました!
なんと前回 (ATD 2016) にも参加されたという剛の者で、おそらく ATD 初の日本人参加者であろうとのこと。
今年はその方と私しか日本からは参加していないようです。(私は歴代 3 番目の日本人参加者だそうです。)
Agile Testing Daysにアプレッソの方が来てた。去年は一緒に行ったけど、それ以外で日本人見たの初めて。
— teyamagu (@teyamagu) 2017年11月15日
何はともあれ日本語で話できたのでずいぶんと気が楽になりました。:)
というわけで 9:00 からオープニングセッション。
本日は以下のセッションを聴講しました。
- "PopcornFlow" by Claudio Perrone
- "Succeeding as an Introvert" by Kim Knup
- "10 Behaviours of Effective Agile Teams" by Rob Lambert
- "A Practical Guide to Testing in DevOps" by Katrina Clokie
- "Getting Ready for the Cloud!" by Sabina Simons
- "Effective communication - the key to be a better team player" by Miroslava Nikolova
- "How to bake a tester" by Marvin Bodziuk
- "Agile or Waterfall? Business & Environment decide" by Mostafa Awadh
- "SCRUM vs. Management" by Kyle Alexander Siemens & Kaan Sanli
- "Breaking down silos to team cross functionality" by Natalie Warnert
LT セッションがあったのですが、日本だと LT って割とネタを仕込んでくるイメージがあるのですが(偏見?)、こちらではとても真面目でした。
特に "How to bake a tester" なんていうから、相当なネタなのかなと思って期待していたら至極まっとうで。
成分はざっと挙げると ISTQB、モデリング、テスト設計、バグ報告、自動化 (Eclipse Jubula)、アジャイルプロセス、定期的な会社の test meetup、最後にメンタル。
これは分量と配合を間違えなければ必ず美味な QA エンジニアができますよ!
(夜のポツダム)
いきなり余談ですが、夜になって街に買い物に出た際に小雨が降っていたのですが、みんなフードを被るだけで傘ささないんですよね。そういう文化なんでしょうか。
Day Four / Conf. Day 3 (16th Nov)
滞在四日目。ATD の Conf. Day 3 です。天気は曇り。午後には少しだけ晴れ間がのぞきました。
ヨーロッパらしく(?)、朝にはヨガセッションもあります。(怖くて遠巻きで撮りました)
この日は以下のセッションを聴講しました。
- "The Pothole of Automating Too Much" by Paul Holland
- "Extreme Contracts" by Jacopo Romei
- "AutoFails - 6 year journey of automation failures" by Shekhar Ramphal
- "An alien visiting the office" by Viktorija Manevska
- "People, principles and pragmatism" by Emily Webber
- "Telling Better Stories" by David Evans
- "Seven Dangerous Things to Let Your Team Do" by Ilan Kirschenbaum
- "Liberation not replication: Automate to support testing" by Mark Winteringham
- "Our Journey to Reduce Manual Regression Tests" by Thomas Fend & Trinidad Schmidle
- "How to tell people they failed and make them feel great!" by Liz Keogh
テスト自動化の話で、ただ手動テストを自動化すればよい、ということではないというのはこのカンファレンスで繰り返し言われていますね。
戦略的に自動化していかなければ、人がやれば見つけられるバグも見つからなってしまう。
Day Five / Conf. Day 4 (17th Nov)
滞在五日目。いよいよ ATD の最終日です。天気は晴れ。(結局晴れたのはこの日一日だけした。)
この日は以下のセッションを聴講しました。
- "New Realities through Technology" by Roya Mahboob
- "Do you even (need) to automate (the GUI)?" by Matthew Heusser
- "Knowing what bad code looks like" by Llewellyn Falco
- "The Dogmatic Agile" by Rahul Verma
セッションはこれにて打ち止め。
このあと、クロージングまで keynote が 2 つほど残っていたのですが、天気が良かったこともあり、せっかくなのでここで抜け出して、近くにあるサンスーシ宮殿に観光に行ってきました。
近くにあるといっても、30 分以上歩きましたが・・・。
宮殿はとにかくでかくて完全に中世ファンタジーの世界です。
庭園は迷宮のようでした。
シーズンオフだったのでしょうか、人とはときどきすれ違う程度でした。(写真に人影が写っていないのはわざとじゃなくて、本当にいなかったのです。)
Day Six (18th Nov)
滞在六日目。天気は曇り。カンファレンスも無事終わり、帰国の途につきます。
数日過ごしたポツダムともこれでお別れです。相変わらず誰もいませんが・・・。
帰りのヘルシンキ行き飛行機はタラップまで徒歩という豪傑仕様。
成田到着は翌19日の朝でした。
まとめ
全体的にテストというよりは開発全般に話が及んでいることが多く、それは Agile のカンファレンスであるから当然ですね。
上図にて、各セッションを独自集計でカテゴリ化してみたのですが、トップは Agile を中心とした開発手法に関するもので、他にも赤系統の開発関連セッションがそれなりにあるのが見て取れると思います。
テスト関連のセッションは 2 位以下に多く登場しますが、4 位はコミュニケーション関連、6 位にラーニングなど、非常に多岐に渡っています。
特にアジリティが求められるこれからの時代、QA エンジニアは単純にテストスキルだけ持っていればよいというわけではなく、幅広い知識と柔軟なコミュニケーション力をもって、開発と協力しながら(時には主導して)開発プロジェクトそのものを引っ張っていく必要があるということを強く感じました。
やっぱり QA エンジニアって単なるテスターじゃなくて開発者であるべきなんです。
参考: qiita.com
というわけで、本カンファレンスは QA の人ももちろんですが、Developer、Scrum Master、Product Owner など Product に関わる人であれば誰が来ても収穫はあるのではないでしょうか。
ただ、対象はヨーロッパなので英語が前提、それ以外の言語に対しては当然フォローは皆無なので、あまり英語が分からないと厳しいものがありますね。
セッションの内容については、私が聴いた範囲では日本で聞くことと大きな差はありませんでした。ただ、これは文化の違いかもしれませんが、日本よりも先鋭化した内容に聞こえましたね。だから、その分ポイントに集中しやすい。
あ、いやそれは私の英語力の問題かもしれません...。(細かい部分が聴き取れない)
来年も開催が決定していて、すでに申し込みが始まっています (早割があるみたいです) ので、興味がある方はぜひ!
https://agiletestingdays.com/register-2018/agiletestingdays.com
アメリカ版も開催されるようで、おそらくこちらのほうが規模も大きく、日本人の参加者も多いのではと予想されるのでお勧めです。
自分の会社では Waterfall 手法なので Agile は関係ないや・・・と思っている方がもしいれば、セッションの中には Waterfall でも途中から Agile に切り替えていく利点といった話もあり、活発な議論が行えたりやアドバイスなどももらえるチャンスですので、参加お勧めしますよ!