アメリカ海軍に学ぶ「最強リーダー」

少し時間ができたので、過去分も含めて読書感想文を挙げていきます。


はじめに

本書は章立てで8章から成り立ってる。以下、章ごとに自らの戒めを含めて感じたこと・思ったことを書いていく。

第1章

新しい人員が自チームに配属される場合、オリエンテーションをチームリーダー自らが行うと良い。これは、まずリーダーが明確なビジョンを持ってチームを運営していることを示すためと、チームにJOINしてくれたことに謝意と敬意を示すためである。本人が望んでチームにJOINしたか、チームで能力を発揮できるのかは、少なくともJOINした時点では分からないが、どんな状態であってもまず初めに歓迎していることを伝えることが礼儀だと思った。それで気持ちよいスタートがきれたら、チームに溶け込んでパフォーマンスを発揮するのも早くなるかもしれない。

第2章

この章を読みながらもっとも心が痛んだので、おそらく自分にとっての課題が多い点だと思う。どうやって育てるか、それをどうやって評価するか。相手は人間であり、日々変化している。そのため、銀の弾丸のようなものはなく、手法は様々だが、ぶれないようにすべきは、「相手の気持ちに寄り添って考える」ことである。本章だと、「相手に敬意を払う」という表現が近いかもしれない。これはメンバーに対することだけには限らない。上司であっても、顧客であっても、まず相手に共感して、相手の立場になって考えてみることで、受け入れてもらいやすい真摯な提案ができるのではないかと、本章を読んで改めて思った。

第3章

エスカレーションのやり方。下からの報告については本書に書かれていることを理解しているが、上司へのエスカレーションについては、どうしても躊躇してしまうことがある。しかし、そういったときには、本章の内容に加え第1章にあった「上司の立場を想像し、彼らの考えと行動を分析」する、というのがしっくりきた。

第4章

「失敗するのは人ではなくシステムである」「正しいかどうかではなく、面子をつぶさないことが、最優先される場合もある。」という点に深く共感した。私は最も恐ろしいことは「人の恨み」だと思っている。歴史を見ても、恨みの原動力は凄まじいものがある。組織において、「如何に恨みを買わずに正しいことをやり遂げるか」ということが日々私の心掛けていることであったりする。なので、何か問題が発生した際には人を責めるのではなく、やり方を責めるべきだと思っている。(ただし、それとは別に原因はロジカルに追究する必要がある。) そしてここでも書かれているように、人を責めるときは基本ほかの人の目に触れないように、ということも気を付けるべきである。

第5章

本章を通じて、改めて「HRT」の大切さを認識した。これらは人としての「礼」の基本なのではないかと思っている。「礼」を失った行動はチームの本質的な同意は得られないし、当然そのような状態では継続的なビジネスとして成り立たない。

第6章

情報共有や伝達に関することだが、これも悩ましいものがある。どこまでの内容をどのタイミングで伝えるのが良いか。人が増えるとそれだけ伝わり方も千差万別になり、フォローも時間がかかる。結局、費用対効果を考えることになり、必要以上に情報を伝えないという方向になってしまう。しかし、本章を読んで、情報はできる限り伝えるべきだし、伝え方を工夫することでそれを可能にすべきだと思った。

第7章

リスク管理だが、私は何か判断を求められる際によく「三択」で考える。一つはあるべき正しい姿(ただし往々にして実現は困難)、一つは最悪な姿(問題が発生した際にはこちらに近くなっていることが多い)、そして中間点。そのうえでそれぞれの選択肢のメリット・デメリットを洗い出す。さらにそれをホワイトボードに書き出すことで、関係者一同の認識を合わせることができ、事象を整理することで見えていなかった事実が明らかになったり、思わぬ新しいアイディアが生まれたりといった相乗効果も起きたする。こうして、「まず上策をぶつけて、最終的には中策を落としどころとしよう」のように戦略を立てて動けるようになる。

リスクは、リスクとして認識することとても大事で、そうすることで対応策を考えることができる。なので、問題が発生した際には「何か問題で、どこがリスクなのか」を素早く精査することがポイントだと認識している。

第8章

リーダーシップに関するルールとして「”正しいことをする”という原則だ。」という一文がある。もっと砕くと、正しいこととは「お客様のためになっている = ビジネスとして成り立っている」ということだと考える。Customer Firstというのは、「目の前にいるお客様だけを優先する」ということではない。そうでないと、クレーマー的なわがままを言うお客様がいた場合、そのお客様だけが良い思いをすることになってしまう。ビジネス全体を俯瞰で見ながら、可能な限り不公平が起きないように「正しいことをする」こと、Customer Firstなのではないか。

まとめ

上記以外で大きく印象に残った点を1つ。

第2章にある「どのような仕事であれ、自分が選んだ仕事でベストを尽くす人間は尊敬されるべき」という一文。私は、この一文に書かれていることを行動原理としたい。

例えばオリンピックなどのスポーツを見てみんなが感動するのは選手が「ベストを尽く」しているからだと思う。それがソフトウェアエンジニアだろうと、私は変わらないと思っている。どんな仕事であっても、誇りをもってベストを尽くす、そしてそれを美しいと感じる、ということを信じたい。だから、自分自身ベストを尽くすよう努力するし、また同じようにベストを尽くそうしている人たちをとても尊敬している。